星やどりの声
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    JUGEMテーマ:読書

    父親が亡くなり、母は一人で六人の子供を育てながら父の残した『星やどり』という喫茶店を切り盛りしていた。

    時々店を手伝いにくる長女。
    双子なのに性格がまったく違う姉妹。
    なかなか就職が決まらない長男。
    反抗期の次男。
    そして、幼いながらも色んなことを感じ取っている末っ子。

    それぞれが胸に閉じ込めた悲しみと葛藤が家族をバラバラにしていく。

    父の残した希望と願いは家族の絆となるのだろうか。


    そこに居るのが当たり前。
    そう思っていた家族の一人が欠ける。

    それは古くなった絵の、乾いた絵の具にヒビが入り、パラパラになって落ちていくのに似てる気がする。

    自分が元は何であったのか、どこに行けばいいのか、分からなくなった絵の欠片。

    それら小さな一つ一つが、それぞれに悩みと戸惑いと使命感を抱えながら、微妙なバランスを保って散らばっている。

    そんな欠片の上には、ちゃんと元の絵が飾られている。

    見上げれば、ぽかりと空いた穴。
    かつて自分たちがいた場所であり、大切な人がいた場所。

    もうそこには戻れないけれど、顔を上げれば自分が存在していたという証がちゃんと残ってる。

    そして、足元には新しい絵が描かれる。

    当たり前だと思っていた頃よりも、もっと確かな存在感を持った家族。
    もう彼らはバラバラの欠片ではない。

    互いをいたわり合い、亡くなった父親を胸に刻みつけ、そして前を向いて歩く彼らが描いていく家族と言う名の絵画に、胸が熱くなる。

    反発し、衝突しながら見つけた自分の夢。
    子どもたちの名前に込められた父の想い。
    そして、星やどりの本当の意味。

    読み終わった後、ふと自分の家族や人生を振り返りたくなる、そんな素敵な物語。
    posted by: 黒猫 | 読書・絵本の感想 | 06:42 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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